backnumber index 2002-2003
2003年12月号 | 厚生労働省から11月17日に「年金改正案」が公表されました。 |
2003年11月号 | パートへの厚生年金適用、週20時間以上に! |
2003年10月号 | これから年金をかけて、将来いくらもらえるの? |
2003年9月号 | 法人の代表者等に対する業務上の傷病に健康保険が適用 |
2003年8月号 | 「国民年金、未納4割!」(7/24朝日新聞) |
2003年7月号 | 賞与の取り扱いについて |
2003年6月号 | 確定拠出年金を導入した企業は何社? |
2003年5月号 | 雇用保険法改正・社会保険料率の変更 |
2003年4月号 | 総報酬制に伴う給与・社会保険事務 |
2003年3月号 | 労災保険料率が下がります。 |
2003年2月号 | 主な失業保険改定案 |
2003年1月号 | 労働保険料納付等 |
2002年12月号 | 平成15年4月より総報酬制スタート! |
厚生労働省から11月17日に「年金改正案」が公表されました。
主なポイントは以下の通りです。
事務所から一言
今回の年金改正案は、個人にとっても企業にとっても重大な問題です。当然のごとく経済団体から猛反対にあっているようです。本来ならば総選挙前に発表し、国民の信を問うのが筋ではないかと思います。自分の将来の生活は、国を頼らず、自己責任において確保するしかないのではないかと思います。工藤裕二
パートへの厚生年金適用、週20時間以上に!(10/25朝日新聞夕刊より抜粋)
厚生労働省は、04年の年金改革で予定しているパートなど短時間労働者への厚生年金の適用拡大基準を「週の労働時間が20時間以上」とする時間要件に絞る方針を固めた。「年収65万円以上」とする収入要件も検討していたが、負担増となる企業や雇用への影響に配慮、時期尚早と判断した。厚労省の大まかな推計では現在より312万人ほど加入者が増える見通しだ。
パート労働者に対する適用基準は現在、「正社員の労働時間の4分の3以上」。厚労省は、これを雇用保険にそろえ、正社員の半分程度の「週20時間以上」に拡大する。女性を中心にパートなどの就労が増加していることに対応し、少子高齢化で減っている年金の支え手を増やすのが狙いだ。
パート労働者にとっては将来、基礎年金に加えて厚生年金を受け取ることができ、個人単位での年金の充実が見込める。ただ、働いている間は保険料(労使折半)を払うため、手取り収入はその分減る。
パートへの適用拡大に対しては、一定の経過措置を設ける方針だ。
事務所から一言
中小企業では、現在のパートの適用基準(正社員の労働時間の4分の3以上)も、ろくに守られていないのが現状ではないだろうか?
国会で廃案になることを祈るばかりである。 工藤裕二
先月あるところで年金セミナーを行いました。
「私(20代女性)はこれから年金をかけて将来いくらもらえるの?」と、素朴かつ本質的な質問をいただきました。
その際、私はこう答えました。
「1年掛ければ、国民年金だったら年間20,000円、厚生年金なら38,000円給付が増えます
(但し25年以上掛けないといけませんが)。」
以下はその根拠となる計算式です。
比 較 | 厚生年金(給与20万円で賞与なし)の場合 | 国民年金 | ||
保険料(1年分) |
|
|
||
給付(1年分) | 38,112円(*1) | 19,925円(*2) |
(*1)厚生年金給付の計算式(1年加入)
定額部分1,676×12ヶ月=20,112円 報酬比例20万円×7.5/1000×12ヶ月=18,000円 合計38,112円
(*2)国民年金給付の計算式(1年加入)
797,000円×12/480ヶ月=19,925円
国民年金を40年間掛ければ79.7万円です。
厚生年金を40年間掛ければ年間150万円(厳密にいうと頭打ちがあるので140万円台)です。
社会保険庁のホームページで「自分でできる年金簡易試算」欄があります。ぜひ、お試しください。
社会保険庁のホームページhttp://www.sia.go.jp/
事務所から一言
ホームページを開設しました。当事務所で一緒に働いている岩野さんが、試行錯誤の上完成させてくれました。
過去のニュースも掲載しています。一度覗きにきてください。
よろしくお願いいたします。 工藤裕二
法人の代表者等に対する業務上の傷病に健康保険が適用
厚生労働省は7月1日の通達で、被保険者が5人未満の適用事業所に所属している法人の代表者等について7月1日以降に発生した業務上の傷病については、健康保険による保険給付の対象としました。しかし、傷病手当金に関しては、事業経営につき責任を負い、自らの報酬を決定すべき立場にあり、業務上の傷病につき報酬の減額等を受けるべき立場にないことから、支給されません(休業補償はありませんという意味)。
今まではどうだったの?↓
本来、法人の代表者等についての業務上の傷病に対しては、原則として労働基準法上の労働者に該当しないため、労働者災害補償保険法に基づく保険給付は行われず、例外として労働者災害補償保険法の特別加入により、事務組合を経由して保険給付が行われていました。一方、健康保険法は、業務外の事由による疾病等に関して保険給付を行うこととしているため、業務上の傷病については対象としないものとしていました。(要するに、けがしても全額自己負担でした)。
どうすればいい?↓
従業員5人未満に事業主は労災の特別加入(そのためには商工会などの事務組合に要加入)する必要がなくなりました。ただし、休業補償がないので考慮が必要でしょう。 個別にご相談ください。
事務所から一言
9月1日で開業して丸5年がたちました。
この間、さまざまな分野のお仕事をさせていただきました。これもお客様、関連士業の方々のおかげだと思っております。ありがとうございます。まだまだ反省すべき点もかなりあります。これから日々バージョンアップしていきますので、長い目で見守ってくださいますようお願い申し上げます。 工藤裕二
「国民年金、未納4割!」(7/24朝日新聞)
2002年度の国民年金(1ヶ月13,300円)の納付率が62.8%で過去最低を記録した。未納額は1兆円に上る計算である。
若年層ほど納付率が低く20〜24歳は47.4%、25〜29歳は49.4%と5割を切った。地域別でも納付率が高かった東北(特に青森県75.2→57.9%)、九州(宮崎県76.3%→59.6%)の落ち込みが目立った。
国としてはこの原因を@全額免除者(収入に無い人等)の基準を厳しくしたため、従来の免除者が非免除者(納付義務者)になり、その納付率が14.5%しかない。A市区町村にまかせていた徴収事務(取立業務を含む)が国に移管したことによる混乱、をあげている。
対応策として収納率を上げるために、保険料を納めやすいように環境作りや差し押さえなどの強制徴収に乗り出す方針のようである。
事務所から一言
国民年金保険料は月13,300円と高く、特に若者は払える訳がない(ほとんど親が払っているのが現状!)。納めても将来貰えないという、不信感を解消しない限りこの問題は解決しない。社会保険(みんなでささえあう)制度とし納付率62%ではすでに崩壊しているといってもいい。いっそのこと民営化するか、税金と一緒にとったほうがいいのではないかと思います。
賞与の扱いについて
6月、7月は多くの企業において賞与支給の月となりますが、平成15年度からの賞与の保険料は「総報酬制」の扱いとなります。
【総報酬制とは】
総報酬制とは毎月の給与、そして賞与においても同率の社会保険料がかかる方式です。厚生年金保険の料率が1,000分の135.8、政府管掌健康保険の料率が1,000分の82、政府管掌介護保険の料率が1,000分の8.9でそれぞれ、労使で折半します。
【賞与支払届の注意点】
社会保険事務所から賞与支払予定月の前月までに、加入している被保険者の名前などが印字された賞与支払届と総括表が送られてきます。
賞与額は、支払われた額の合計額から、1,000円未満を切り捨てた額を記入します。ただし、その月の賞与支給額の保険料の上限は厚生年金保険、厚生年金基金の場合150万円、健康保険、介護保険の場合200万円になります。
【退職者の保険料控除】
賞与の支払いでは、当月退職の場合(末日退社を除く)、保険料は取りません。例えば、7月5日に賞与を支払い7月20日で退社した場合、7月に支払った賞与分から保険料は徴収しませんので注意が必要です。
事務所から一言
○算定基礎届の提出業務がほぼ終わりました。社会保険料の変更があるお客様はこちらからご連絡いたします。
○6月9日、13日と二日間にわたり、東京商工会議所文京支部主催で「人事労務担当者の基礎知識」というテーマで講演を行いました。
参加された方から「法律がめまぐるしく変わるので、事務手続きが年々煩雑になり大変です」という声を聞きました。 同感です。
確定拠出年金(日本版401k)の導入企業数が、今年の3月末現在で361社にのぼることが明らかになりました。この導入企業数を多いとみるか少ないとみるかは判断が分かれるところです。
確定拠出年金を導入した企業は何社?
確定拠出年金を導入した企業361社のうち、従業員数が100人未満の企業の割合が31%、同じく100人以上300人未満の企業の割合が26%で、両者を合わせた割合が確定拠出年金導入企業の57%と過半数を超えています。
以上のことからもわかるように、確定拠出年金を導入する企業は300人未満の中小企業を中心に今後も順調に伸びることと思われます。
厚生年金基金の解散が相次いでいます。 厚生年金基金の状況ですが、昨年度解散した厚生年金基金は73基金で、2001年度に解散した59基金を14基金上回りました。株安や超低金利の影響で年金資産を予定通り運用することができず、その穴埋めに耐えられなくなったために解散するケースがほとんどです。また、解散していない厚生年金基金であっても年金給付水準の引き下げをしているところなどもあり、全体的にみて厚生年金基金の財政状態は苦しいといえるでしょう。そのほか、解散ではありませんが、国に代わって厚生年金基金が運用・給付している部分(代行部分)を返上する企業が大企業を中心に多くみられます。 今後もこの傾向が加速すると思われます。
解散相次ぐ厚生年金基金
【1】雇用保険法改正
4月25日、国会で雇用保険法改正案が可決され、5月1日からスタートになりました。
1.失業保険の給付日数が変更
自己都合・定年退職等で退職した人の場合
勤続年数 |
現行 |
改定 |
5年未満 |
90日 |
90 |
5〜10年未満 |
120日 |
90日 |
10〜20年未満 |
150日 |
120日 |
20年以上 |
180日 |
150日 |
2.失業保険の基本手当(1日あたり貰える金額)の上限及び給付率の変更
@上限 年齢 現行 改定
29歳以下 8,676円→6,580円
30−44歳 9,642円→7,310円
45−59歳 10,608円→8,040円
60−64歳 9,640円→7,011円
A給付率 離職時賃金の60〜80%→50〜80%
3.教育訓練給付金制度の変更
@給付率8割→4割 A上限額30万円→20万円
4.高年齢雇用継続給付の減額
@支給要件
60歳時賃金より15%超以下→25%超低下
A給付率 賃金の25% → 15%
【2】社会保険料率の変更
総報酬制により5月の給与支給日から社会保険料率が改定になります。
給与ソフトの設定の変更をお願いします。なお、給与ソフトをお使いでない事業所様は別途保険料をご連絡いたします。
【3】厚生年金・国民年金を受給されている方
年金受給者の方には厚生労働省から通知が届いていると思いますが、
平成15年度の年金受給額が物価スライド(*)により前年度分より約1%だけ下がることになりました。
4月からの施行で、6月(4月、5月分)の振込分から下がります。
(*)物価スライドとは
前年の全国消費者物価指数の変動に応じて翌年度の年金額がそれに応じてスライドする制度。
平成12〜14年までは物価指数が下落してもスライド(年金額を下げること)を凍結していました。
1.総報酬制に伴う給与計算・及び社会保険事務(4月から)
@社会保険料率変更時期
4月分の保険料を5月に天引きするので、5月の給与支払から社会保険料率を変更してください。
新料率(政府管掌の場合:組合管掌の場合は料率が異なります)
健保 82/1000 介護 8.09/1000 年金 135.8/1000
注)被保険者負担は上記で算出した保険料の半額です。
A算定基礎届の提出と対象月の変更
提出月 8月→7月
対象月 5,6,7月→4,5,6月
2.健康保険の給付(4月1日から変更)
@被保険者の自己負担金の変更
2割→3割(3歳未満は2割)
A資格喪失後の継続療養の廃止
B任意継続被保険者期間が一律2年で特例廃止
(従来は55歳以上で退職した場合、60歳まで加入できる特例あり)
3.5月1日施行予定の雇用保険法改正の経過措置(改正内容は事務所便り2月号参照)
@失業給付額の変更
平成15年5月1日以降退職の方
A高年齢雇用継続給付の給付水準の変更
水準が下がるのは昭和18年5月2日以降生まれの方
→すでに60才以上の方は変更ありません(一部例外あり)。
◎労災保険料率が下がります。(平成15年4月より)
関与先様の関連する業種の労災保険料率
( 単位:1000分の1)
業 種
事業種類
現行
改定
建設業
一般建設業
20
17
内装工事業
15
14
製造業
電気機械・通信器具製造業
5.5
5
ビン等洗浄業
10
8
運輸業
貨物取扱業
15
13
その他
事業
小売業・飲食業
5.5
5
卸売業
5.5
5
サービス業
5.5
5
労災保険料は賃金総額×労災保険料率で計算されます。
但し建設業は工事請負金額×労務比率×労災保険料率になります。
(例1)
小売業で年間1億円の賃金総額の場合は労災保険料率が以下のようになります。
現行 100,000,000円×5.5/1000=550,000円
改定 100,000,000円× 5/1000=500,000円
(例2)
一般建設業の場合工事請負金額1億円
100,000,000円×21%×20/1000=420,000
100,000,000円×21%×17/1000=357,000
労務比率:21%(一般建設業・内装工事業の場合)
平成15年5月1日施行予定
1.失業保険の給付日数が変更
自己都合・定年退職等で退職した人の場合
勤続年数
現行
改定案
5年未満
90日
90日
5〜10年未満
120日
90日
10〜20年未満
150日
120日
20年以上
180日
150日
2.失業保険の基本手当(1日あたり貰える金額)の上限及び給付率の変更
@上限
年齢 現行 改定案 29歳以下 8,676円 → 6,580円 (24%↓) 30−44歳 9,642円 → 7,310円 (24%↓) 45−59歳 10,608円 → 8,040円 (24%↓) 60−64歳 9,640円 → 7,011円 (27%↓)
【1月の主な業務】
1労働保険料納付(4期分)
@ 納付期限:1月31日
*事務組合加入の事業所は5月20日
A納付目的:雇用保険料アップによる追加徴収分(本年度のみ発生)
B納付方法:納付書により金融機関で納付
C納付書:12月中旬に労働局より郵送済
2.法定調書の提出
@提出先:
(A)支払調書・源泉徴収票⇒会社を管轄する税務署へ提出
(B)給与支払報告書⇒社員の住所地の各市区町村へ提出
(横浜市は会社の所在地により提出先が異なるので注意が必要)
A提出期限:1月31日
平成15年4月より総報酬制スタート!
総報酬制とは? →賞与にも給与と同じ率の健康保険料と厚生年金保険料をかけるというもの
制 度 |
現 行 |
改 定 後 |
|
健康保険 |
給 与 |
8.5% |
8.2% |
賞 与 |
0.8% |
8.2% |
|
厚生年金 |
給 与 |
17.35% |
13.58% |
賞 与 |
1% |
13.58% |
注1)健康保険組合の保険料率は組合ごとに異なる。
注2)介護保険料、児童手当拠出金の保険料率は未定
注3)賞与の上限あり 健康保険150万、厚生年金200万円
ポイント
@従来、賞与が年間3ヶ月以上出ていた会社は年間保険料は増える。
A逆に賞与が少ない(ない)会社は年間保険料は減る。
B賞与支給の翌月の社会保険料の支払が増えるので来期の月次予算・資金繰りに注意が必要。
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